「(500)日のサマー」感想|ロマンチストとリアリスト。恋愛スタンスが両極端の男女のストーリー

「(500)日のサマー」感想|ロマンチストとリアリスト。恋愛スタンスが両極端の男女のストーリー

あなたは恋愛においてロマンチストでしょうか。リアリストでしょうか。
好きになった相手が自分とは違った恋愛スタンスならば、あなたはどうしますか。
今回は、そんな恋愛スタンスが全く違う二人を描いた恋愛映画「(500)日のサマー」を紹介します。


1.あらすじ
2.感想(ネタバレなし)
・サマーの可愛さ
・トムの不安定さ
・レイチェルの信頼の高さ
3.感想(ネタバレあり)
・絶妙なタイムラインの交差
・「運命の恋」とは
4.まとめ


1.あらすじ

・2009年公開
・監督:マーク・ウェブ
・出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ズーイー・デシャネル 他

主人公はLAのグリーティングカード会社で働く青年トム。
元々大学で建築を学んでいたため、グリーティングカードの仕事は面白くないと感じ冴えない日々を送っている。
そんな時、新しくアシスタントとして職場にやってきたサマーにトムは一目惚れしてしまう。
一緒に話していくうちに二人はいい雰囲気になるが、サマーは「真実の愛なんてない」「いつかは別れるから真剣に付き合うつもりはない」という恋愛スタンス。
一方トムは、サマーこそ「運命の恋」だと信じるが、一緒に居ることができるなら、と「気軽な関係でいよう」と本心を隠してしまう。
そこから500日間の二人の関係性の揺らぎを描いた作品。

2.感想(ネタバレなし)

80点。
普段多くの恋愛映画は観ませんが、二人の日々を描く手法、ファッションなどがスタイリッシュで、創作意欲が湧くような素敵な映画でした。

サマーの可愛さ

この映画のレビューを書く時に、これを除いて書く人はいないでしょう。
やはり、大きな瞳、パッツン前髪、おしゃれな服装、幼い笑顔、どのシーンを切り取っても魅力的です。
そうは言っても、すらっと高身長な訳でもない、グラマラスな訳でもない、髪も少しくせっ毛(無造作)、と完璧でないのに、どこか「僕だけの」と独占したくなるような可愛さがあります。
それは、サマー役のズーイー・デシャネルの飾らない演技のおかげでしょうか。
今回、私はサマーの絵が描きたいがためにレビューを書くという逆転現象が起きているので、トムと同じように彼女に一目惚れしたということでしょう(笑)

あと、サマーのファッションって見ていてワクワクするんです。
TPOに合わせて色んなスタイルのファッションを着こなし、小物使いもとても上手なのです。
少し時代が違いますが、「メリー・ポピンズ」や「ラ・ラ・ランド」、「ファンタスティック・ビースト」等もファッションが気に入っているのですが、この映画でも同じ感覚でサマーのファッションに注目すると楽しいのではないかと思います。

映画の中では、サマーがわがままでトムを翻弄しているように描かれていますが、サマーは悪女ではなくあくまでリアリストであり、自分に嘘をつかない女性だったのだと思います。
人との関係性にラベルをつけるのではなく、「この人と一緒に居ると楽しいから居る」「楽しくないなら一緒に居る必要ないのでは?」など一瞬一瞬の気持ちに向き合った結果、あのスタンスが築き上げられたのでしょう。
「付き合う」はサマーのゴールではないのです。
まぁ、男性からしてみれば、何度も気がある素振り(サマーにしてみれば全部本当)をたくさん見せられるので、傷付くことも多いのでしょう。

トムの不安定さ

トムを演じたのは、ジョセフ・ゴードン=レヴィット。
「50/50 フィフティ・フィフティ」「インセプション」「ダークナイトライジング」「スノーデン」等多くの作品に出演しており、幅広い役を演じています。
少し童顔で、どこか日本人に親しみを持たれるようなルックスが素敵ですね。

この作品はトム視点で描かれていて、トムの感情の変化は分かりやすく表現されています。
トムはサマーとは正反対のロマンチストで、「運命の恋」に盲目になってしまいます。
その分気分の浮き沈みが激しくて、舞い上がる時も、落ち込む時も「ちょ、ちょっと落ち着いて…」と言いたくなりますが、その不安定さが作品に人間味・コミカルさを足しています。

レイチェルの信頼の高さ

作品の中で、度々トムの恋愛相談を受けていたトムの妹。
おそらく中学生くらいですが、状況分析が非常に冷静でトムにとって良きアドバイザーでした。
「兄」だからと言って無条件に応援するのではなく、「人」としてアドバイスをしている印象です。
そんなレイチェルを信頼したからこそ、トムは包み隠さず相談していたのでしょう。
レイチェル、トムの友人よりよっぽど大人です…友だちになりたい…。

3.感想(ネタバレあり)

絶妙なタイムラインの交差

作品は、トムとサマーの関係が上手くいかなくなったところから話が始まります。
そこから、出会った時、喧嘩する時、幸せ絶頂な時、とタイムライン上を行ったり来たりします。
この手法は非常に素晴らしかったです。日付を示す画面も何だかオシャレでした。

最初に上手くいかなくなっていることを知っているから、サマーといい雰囲気になって有頂天になっているトムが映し出されると、観客としてはそのシーンが皮肉っぽく見えてしまい、よりトムに感情移入をしてしまいます。
この手法を取り入れることによって、全編を通してまるでトムの失恋の答え合わせをしているようでした。
何がいけなかったのか、どこで間違えたのか、ゆっくり丁寧に色んなシーンを思い返していきます。

「運命の恋」とは

「真実の愛なんてない」と言い切っていたサマーが、トムと別れた後あっさり別の男性と結婚します。そしてサマーはそれを「運命」だと言います。
一方、トムはサマーとの恋が終わったことで、「運命」なんてないと思うようになりました。
冒頭で言っていた二人の恋愛スタンスが最終的には真逆になるのが面白いですね。

サマーの夫とトムの違いは何だったのでしょうか。
夫については、サマーとの出会い以外に詳しく描かれていません。
しかし、サマーがトムから離れることになった根本の原因は、トムが「気軽な関係でいよう」と最初に嘘をついたことだと思っています。
サマーは、嘘をついてまで誰かと一緒に居ようとは思わなくて、それは相手にも嘘をついてまで居てほしいと求めないということです。
つまり、嘘をついた時点で最初から二人は結ばれる運命ではなかったということです。
好きになっちゃったのに、何だか救われない話です。
でも、万が一トムが終始自分の気持ちを隠さずにサマーと向き合っていれば…うーん、これも上手くいく気がしませんね(笑)
トムが関係性のラベルをつけることに対して執着をしなければ一緒に居ることができたかもしれませんが、ほとんどの人は関係性にラベルをつけて安心したいのです。

改めて書くと人間って寂しい生き物ですね…。

4.まとめ

この作品は恋愛スタンスの違う二人を少しコミカルに描いていたり、映像もおしゃれだったりするので、ベタベタの恋愛映画が苦手な方でもきっと楽しめると思います。
サマーの行動に対する意見は賛否両論あるかと思いますが、「運命の恋」とは何だろうと自分なりの答えを考えながら、サマーに可愛さに胸キュンしてください!