「バーフバリ」二部作感想|インド映画初心者が挑んだ結果、新しい表現世界を体験できた

「バーフバリ」二部作感想|インド映画初心者が挑んだ結果、新しい表現世界を体験できた

先日2019年の映画についてのまとめを書いたのですが、そこで「新しいジャンルに挑戦したい」と公言しました。(「2019年映画まとめ②」詳しくはこちらから飛べます)
有言実行!ということで今回はインド映画「バーフバリ 伝説誕生」「バーフバリ 王の凱旋」の二部作を鑑賞したのでご報告します!
これまで観たインド映画で言うと「パッドマン 5億人の女性を救った男」「マダム・イン・ニューヨーク」「スラムドッグ$ミリオネア」くらいでしょうか。
(Wikipediaには「スラムドッグ$ミリオネア」がイギリス映画とされていますが、今回は内容的にもインド映画として扱わせていただきます)
視聴済みのこの3作品はどれも好きなのですが、その他のインド映画についてほとんど知識がなく何から観ようか悩んでいたところ、ふと「木根さんの1人でキネマ」5巻(漫画)のことを思い出しました。

★木根さんの1人でキネマ」とは…
映画オタクの30代独身OL木根真知子の日々を描いたコメディ漫画。
1話ごとに実際の映画を取り上げて、独自の視点でその映画への愛を表現している。

「スター・ウォーズ」シリーズ、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ、「レオン」など有名作品を続々と取り上げて、映画オタク視点で高めのテンションで描かれています。
そして「バーフバリ」シリーズも5巻で取り上げられていました。
そこでは、木根の友人3人が「バーフバリ」を観て盛り上がっていたが、あろうことか映画オタクの木根がまだ観ておらず盛大に茶化されるというお話。
つまり、映画に詳しくない人たちにも広がる程人気ということ…!
よし、これだ!ということですぐにレンタルしてきました。

今回は基本的にネタバレで感想を書いていこうと思います。


1.あらすじ
2.感想(ネタバレあり)
・常にクライマックスのような斬新な表現に慣れない…けど面白い
・英雄なのに結構な変態ぶりに笑ってしまった
・女優さんのメイクが芸術的
・バラーラデーヴァについて思いを巡らす
3.まとめ


1.あらすじ

「バーフバリ 伝説誕生」
・2017年公開(日本)
・監督:S・S・ラージャマウリ
「バーフバリ 王の凱旋」
・2017年公開(日本)
・監督:S・S・ラージャマウリ

古代インドの大国マヒシュマティ王国の女性シヴァガミはある赤ん坊を抱えて追手の兵士から逃げていた。
シヴァガミは何とか追手を振り払うも足を滑らせて川に落ちてしまう。
川に流されながらも隣の村までは執念で赤ん坊を守り抜き、村の人に赤ん坊を託すと滝の上を指差した後川に沈んで行ってしまう。
村の人たちは赤ん坊を滝の上まで返しに行こうとするが、村長の妻サンガがその赤ん坊は自分への授かりものと感じ「シヴドゥ」と名付け自分の息子として育てることに決めた。

シヴドゥは成長するにつれて滝の上に興味を持ち始め、何度も滝登りに挑戦するが成功することはなかった。
ある日、滝の上から女性の顔の仮面が落ちてきて、その美しさにシヴドゥは夢中になる。
仮面の持ち主に会いたいがために再度滝登りに挑戦し、遂には滝の頂上に到達することができた。

滝の上で仮面の持ち主アヴァンティカに出会う。
彼女はマヒシュマティ王国の暴君バラーラデーヴァに幽閉されているデーヴァセーナ王妃を救い出そうとするクンタラ王国一党に所属していた。
アヴァンティカから事情を聞き、デーヴァセーナ王妃の救出を手伝うことになったシヴドゥだが、徐々に自分の出生の秘密を知ることになり、自分の運命に立ち向かうこととなる。

2.感想(ネタバレあり)

80点。インド映画初心者にとっては英雄物語という点でとても観やすい作品でした。
画面の切り替わりが雑なシーンがあったり、気持ちの切り替わりが早すぎてついて行けなかったり、所々で気になる点はありましたが、それも含め新しい体験ができたなぁと感じました。

常にクライマックスのような斬新な表現に慣れない…けど面白い

まず全体で言えるのは、想像以上に表現が斬新で普段とは違うテンポで物語に引き込まれること
冒頭から「川から赤ん坊を掲げる手が流れてくる」というパンチの効いたシーンで度肝を抜かれました(笑)
しかも、村の人たちが赤ん坊を助けたら、ちゃんと女性は滝のほうを指さしてから息絶えて流れて行ってしまうのですから。
それからも成長したシヴドゥ(バーフバリ(子))がシヴァ神の石像を何故かドラマティックに担ぎ上げて滝に沈めたり、滝から落ちてきた仮面の持ち主の女性を求め妄想の世界を通して滝を登り続けたり、バーフバリ(子)とアヴァンティカが追手から逃げるときに大規模な雪崩が起きて神業プレーで逃げ切ったり、何十人で引っ張っていた巨大な金色像が倒れそうになりバーフバリ(子)が怪力で助けたり、カッタッパが闘っていた相手がバーフバリ(子)だと分かるとスライディング土下座したり、バラーラデーヴァ軍を倒すために規格外の戦術に出たり…本当に書き切れません(笑)

基本的にこの人たちは人間なのか?と疑いたくなるような、ある意味神業プレーが連発します。
最初は慣れない表現についつい笑ってしまうのですが、だんだんそれを楽しむようになってきます。
個人的には、「バーフバリ 王の凱旋」でシヴァガミがショックを受ける度に「ガーン!」みたいな感じで効果音と共にアップが映るのが漫画的表現に似ていて好きでした。(伝われ)

あとは合間にキャラクターたちが歌う挿入歌も入ってくるのですが、それも色鮮やかなスクリーンと相まってとても良かったです。

英雄なのに結構な変態ぶりに笑ってしまった

バーフバリ(父)は国家の危機を救い国民から絶大な人気を得た英雄だし、バーフバリ(子)もその血を受け継いですぐにカリスマ性を発揮した英雄なのだけれど、好きな人へのアプローチが結構変態で笑ってしまいました。いや、半分引いてしまいました(笑)

特にバーフバリ(子)のアヴァンティカへのアプローチ…
アヴァンティカにこっそりボディペイントを2回もして、その後アヴァンティカから攻撃を受けても、攻撃をかわしながら洋服を少しずつ脱がしていき、果実を使ってメイクアップさせてアプローチって…いやいやいや、新手の変態ですか?(笑)
でも、驚くことにアヴァンティカはメイクアップされた自分を見て、女性である自分を思い出して、最終的には「あなたと青春を共にする~♪」と歌って両想い…分からない、どこで心が動かされたのか…(笑)

そんな理解できない心の動きもいくつかあり突っ込みたい気持ちもありますが、予想外の展開になるという点では楽しめるのかなぁと感じました。

女優さんのメイクが芸術的

インド映画に出てくるヒロインってメイクが芸術的で色鮮やかな衣装に負けない美しさがあるなぁと感じました。
「パッドマン」のパリ―役のソーナム・カプールも素敵だったなぁ(画像を観返したらどことなく菜々緒さんに似ている気がする…)
今回の作品でもシヴァガミもデーヴァセーナもアヴァンティカもメイクが素敵でスクリーン映えが凄い。つい見とれてしまいます。
ただ、後半はシヴァガミとデーヴァセーナも少し過激な行動に出るようになって、美人が台無しになっている感じはありましたが(笑)

インド風のメイクのポイントは何だろうと画像を調べて観察してみると、「眉毛」「まつ毛」「アイシャドウ」「アイライン」「リップ」…日本人のメイクとはとにかく全部違いますね(笑)
眉毛は太く長く。まつ毛はボリューミー。
アイシャドウは濃い色を広くグラデーション。
アイラインは強めに長く。リップは濃い赤。
あとはカラコンを入れてビンディをおでこに貼ったら完璧!
私は平たい顔族なので、こんなエキゾチックな顔立ちに少し憧れます(笑)

それにしてもこの映画はメイクだけではなく「女性の強さ」が目立った映画でしたね。
今まで観たインド映画だと女性の地位が低く描かれていることが多かったけど、今回はむしろパンチの効いた女性が多くて(笑)そういった点でも人気になった理由の一つなのかなぁと感じました。

バラーラデーヴァについて思いを巡らす

他のレビューを読んでいると「バーフバリ!」「バーフバリ!」とバーフバリに熱狂しているものが多いので、あえて敵として戦ったバラーラデーヴァについて思いを巡らせたいと思います。

私が考えたいのは、果たしてバラーラデーヴァは最初から悪者だったのか、ということ。

シヴァガミの実子はバラーラデーヴァですが、彼を王位に就けるのではなく、バラーラデーヴァとバーフバリ(父)のうちより優れた者を王にすると宣言します。
そのため、小さい頃からバーフバリ(父)とバラーラデーヴァは共に学び、二人とも文武両道に優れた青年に成長していきます。
カッタッパに対して身分関係なく接するシーン等からバーフバリ(父)に優しい心があることが分かりますが、バラーラデーヴァも王にふさわしくない面が特段出てきている訳ではありませんでした。
実際、バーフバリ(父)もバラーラデーヴァを信頼していたし、シヴァガミはどちらを王位に就けるか悩んでいた程でした。

最初に小さな陰りが見えたのは、家臣がマヒシュマティ王国の軍事機密を盗み出した事件が発生した時。
バーフバリ(父)とバラーラデーヴァで犯人を捕らえに行き、その時バラーラデーヴァにバーフバリ(父)が崖から落ちたら…なんて考えがよぎります。
でもそれは誰にも知られることがありませんでした。
うん、この時点ではまだ大丈夫そう。
その後、軍事機密を得た隣国の蛮族カーラケーヤとの闘いでバラーラデーヴァがカーラケーヤ族長の命を取りましたが、シヴァガミはバーフバリ(父)の国民を守りながら闘う姿勢を見て、バーフバリ(父)を国王、バラーラデーヴァを国軍最高司令官として任命しました。
…ん?母さん、カーラケーヤ族長の命を取ったほうが国王って言ったよね?というバラーラデーヴァの声が聞こえてきそうですね。
でも、父ビッジャラデーヴァからシヴァガミの暗殺を持ち掛けられても冷静に受け答えしていたし、表立ってバーフバリ(父)に敵意も見せていません。
うん、この時点でもまだ大丈夫そう。
デーヴァセーナの美しい肖像画を見たバラーラデーヴァはバーフバリ(父)から想い人を奪えると考え、シヴァガミにデーヴァセーナと結婚したい旨申し出ます。
最終的に色々あり、バーフバリ(父)とデーヴァセーナがシヴァガミの意向を無視して結婚することになり、激怒したシヴァガミはバラーラデーヴァを国王に指名しました。
この時、バラーラデーヴァは王座を奪還するまでは考えていなくて、運よく事がうまく運んだんじゃないかなぁと思います。うん、この時点でもギリギリ大丈夫そう。
そして、戴冠式の日。バラーラデーヴァが国王に即位し、バーフバリ(父)は軍事最高司令官に就任しました。
しかし、詰めかけた国民はバラーラデーヴァではなく、バーフバリ(父)に国王に即位してほしいと「バーフバリ!」「バーフバリ!」と大きな声を上げます。
…ここじゃないですかね。バラーラデーヴァが暗黒面へと落ちたのは。
もしかしたらこの出来事がなければ、バラーラデーヴァは彼なりに国を治めようとしていたかもしれません。
バラーラデーヴァが国民を苦しめるような国王に変貌するきっかけを作ったのは、悲しいことに国民自身だったんじゃないかという想いが私の中で湧き上がりました。
もちろん、ーフバリ(父)は国王として優れた才能を持っていたことは分かりますが、バラーラデーヴァが国王になるのを拒む程だったのか、国民のバーフバリ(父)への熱狂は正しいものだったのか、バーフバリ(父)を無条件で称える前に少し立ち止まって考えてもよかったんじゃないかなと感じました。

最終的に彼のした数々の暴挙は許されることではありませんが、母親には1番だと認められないし、周りに彼を正しく支えてくれる有望な人材が少ないし、実は視点を変えたらちょっぴり悲しい立場のキャラクターではないでしょうか。
皆さんにはバラーラデーヴァはどう映りましたか?

3.まとめ

普段なかなか観る機会のないインド映画、十分に楽しむことができました。
今回のことがきっかけでインド映画の情報も少し入ってきたので、今後も情報をシャットダウンせずに注目していこうと思います!