「5パーセントの奇跡~嘘から始まる素敵な人生~」感想|自分の可能性を信じ続けると掴めるもの

「5パーセントの奇跡~嘘から始まる素敵な人生~」感想|自分の可能性を信じ続けると掴めるもの

映画の予告編を観て以来ずっと気になっていたものの、なかなか観る機会を逃していた「5パーセントの奇跡~嘘から始まる素敵な人生~」。
実際に観てみて「予想通り!」の良作でした。
95%の視力を失った青年が夢を叶えるために奮闘する内容で、障がいをテーマにしているのだけど全く重い雰囲気がなくむしろコメディっぽくて心があたたかくなるドイツ映画でした。


1.あらすじ
2.感想(ネタバレなし)
3.感想(ネタバレあり)
4.まとめ


1.あらすじ

・2017年公開
・監督:マルク・ローテムント
・出演:コスティア・ウルマン、ヤコブ・マッチェンツ、アンナ・マリア・ミューエ 他

将来五つ星ホテルで働く夢を持っていた青年サリヤ・カハヴァッテ(サリー)は、高校卒業前に目の病気を発症し網膜剥離となり視力の95%を失ってしまった。
周りからは盲学校への転校を勧められたが、残りの5%の視力で何とか頑張って普通科の高校を卒業した。
その後、夢を叶えるべく様々な有名ホテルにエントリーシートを送るも障がいが理由で面接さえしてもらえなかった。
そこでサリーは障がいのことを隠してミュンヘンにある五つ星ホテルに応募して「目が見える」演技をすることを決意した。
その結果、五つ星ホテルの見習い研修生としての採用が決まり、5%の視力で周りにばれないように働く日々が始まった。
果たしてサリーは研修を無事終了して、一流のホテルマンとして働くことができるのか。

2.感想(ネタバレなし)

84点。
観終わった後に感じたのは、障がいをテーマにしているけれどその辛さよりも人の優しさ」が目立つあたたかい映画だなぁということ。
サリーが困ったときに何だかんだ彼を助けてくれる人々が現れて、幾度となく訪れる困難を乗り越えます。
そういう場面が結構多くて「周りにこんなに優しい人が居てラッキーだったね」と思ってしまう反面、ラッキーという言葉では片付けられない何かがそこにはあると感じました。
と言うのも、サリーが目的を達成するために行う努力の量は尋常じゃありません。
何かを本気で掴みたい人はここまでやるのかと驚愕します。
そんな彼だからこそ応援したくなるし、素敵な人との出会いを引き寄せられたのかなぁと思います。
ただラッキーなのではなく、その運命を彼が掴んだんだと感じました。

そんな素敵な出会いの中でも、同じ見習い研修生のマックスとの関係性は最高でした!(皿洗いのハミードも捨てがたいですが…)
マックスはホテルマンになることに対してあまり情熱もないし女癖も酒癖も悪いけど、裏表のない性格でサリーをずっと支えてくれました。
でも、一方的なサリーへのサポートではなくサリーも知識等の点でマックスを支え、対等で遠慮のない友好関係が見ていて気持ちいいのです。
弱視のことをそんなに気にせず接して色んな所に連れ出してくれるのは、サリーにとってとても嬉しい出来事だったんじゃないかと思います。

あとは何と言っても「見える演技」をしているサリーが見所です
見えないことによって起こるプチハプニングに笑ってしまったり、弱視がバレそうになるんじゃないかとヒヤヒヤしたり、観客は常にドキドキしてしまいます。
降りかかった課題に対してユーモアをまじえて解決していく様子を見ているとついついサリーを応援したくなります。
また、これは実話を基に製作された映画だということも驚きです。
作品のモデルとなったサリヤ・カハヴァッテさんはなんと15年もの間、自分が弱視であることを隠して接客業と美食調理法においてキャリアを積んだそうです。
本当にそんなことが可能なのか…。
サリーの視界を表現する画が何度も出てきますが、5%の視界は想像以上に見えなくて怖いです。
ぼんやりと光が見えるだけで、知らない場所を普通に歩くだけでも怖いです。
自分だったら一瞬で心が挫けてしまいそうと実感するからこそ、サリーの凄さがより一層心に響きます。

他にもこの作品では恋愛や、移民等ドイツにおける社会問題を描いているのも面白いです。
サリーは仕事中、ホテルに野菜を納品している農場の女性・ラウラの声を聞き、一目惚れならぬ一耳惚れ(?)してしまいます。
他のことには目もくれず夢に一直線なサリーかと思いきや、普通に恋愛にも興味があるのだとほっこりしました(笑)
しかも結構ラウラに対して大胆かつ積極的にアプローチしていくからただただ感心しちゃいます。

見所はたくさんありますが、とにかく障がいなんて関係ない!と努力するサリーの姿は非常に魅力的でした。

3.感想(ネタバレあり)

サリーは当初エントリーシートに障がいのことを書いて様々なホテルに応募したところ、面接さえしてもらえませんでした。
でも、見習い研修生になってからたくさんの人のあたたかさに触れました。
ドイツは多くの移民を受けて入れている国なので、基本的にはドイツには多様性を認めるマインドの土台があるのかもなぁと感じました。
だからこそ、私は早い段階で弱視のことはホテルに伝えても良かったんじゃないかと感じました。
面接をしてもらうために応募時点で障がいを隠していても、採用後はホテルもお客様・従業員に対して責任のある立場だから正直に話して信頼関係を築く道も考えてほしかったです。
実際、ストーリーの中にあるように調理器具で大怪我することもあるし、ウエディングケーキに突っ込んで結婚式を台無しにすることもあるのだから。
個人的には、結婚式の件で一度クビになったけど修了試験を受けさせてほしいと戻ってきたとき、結婚式を台無しにしたことは重く受け止めて欲しかったし、それに対する処罰が結局無くなってしまったのは少し甘いんじゃないかと思っちゃいました。

でも、サリーもそういった多くの失敗を通して自分がどこまでやれるかというのを身を持って学ぶことができたから、「5つ星ホテルでホテルマンになる」ということだけにこだわらず「マックスとお店を開く」という新しい自分の道を見つけることができたのでしょうね。

作品の中では一貫して「何もしないで諦める」という選択肢がサリーの中にはなくて、常にとりあえずやってみようと挑む姿はとてもカッコよく見えました。怖いものなし!

それにしても、鬼教官の後半の変わりようは面白かったですね。ツンデレすぎ。
修了試験でもこっそり助けてくれて、当初あんなに厳しくしていたのに最後にはきちんと言葉にしてサリーを褒めてくれてくれました。
この映画に出てくる人、結局みんないい人でした(笑)
こうやって善人ばっかり出てくる映画、心がほっこりして大好きです。

4.まとめ

サリーを見ていると「自分はまだまだガムシャラになれてないなぁ」と感じます。
同時にサリーは自分への信頼度がとても高いと感じました。
自分ならやれる、頑張れる、と。
多くの人はまずその気持ちを持つことが難しいのではないでしょうか。
でもこの映画を観て、サリーのように自分を信じて突き進んだら、その先で何かを掴めるのかもしれないと勇気をもらえました。

よし、私もまだまだ頑張れる!